山々を楽しく滑らせてくれるスキー、何気なく乗っていると思いますがグラフィックとソールに隠されたスキーの中身が一体どんな風に作られているのが気になったことはありませんか?
今回はそのスキーが作られる工程を1から10までご紹介したいと思います。
こんなに公開してしまっていいの!?って思われるかもしれませんがICELANTIC(アイスランティック)のスキーはハンドメイドにこだわり、一つ一つが丁寧に職人の手によって作られているので自身を持ってお見せすることが出来ます。
そしてこうやって作られている大切なスキーを皆様にももっと大切な道具(身体の一部のように)として扱ってもらいたいと思いますので長くなってしまうと思いますがよろしければ読んでみてください。
Contents
ICELANTIC工場見学
「NEVER SUMMER FACTORY」
ICELANTICのスキーはコロラド州デンバーの工場にて作られています。
全ての工程がその工場の中で行われ出荷され皆様の手元に届いています。
今回はその全貌をICELANTICの創業者であるベン・アンダーソン自らがご案内してくれました。
板を作る工場までは、この車にみんなで乗って向かっちゃいます。さり気なくずっと乗りたかったんです。
運転手は創業者ベン・アンダーソン、とても贅沢です。わくわくしちゃいますよね。
無事に工場に到着し中に入ると早速完成した板たちが迎えてくれました。
こちらは検品が終わってこれから出荷されていく板たちです。もしかするとこの中のどれかが皆さんの手元に届いているかもしれません。
板が完成するまでの3つのセクション
スキー板が作られる工程は大きく分けて3つのセクションで作られています。
1. 板の材料を作るセクション
2. 集まった材料を組み立てるセクション
3. 組み上がった板を綺麗に仕上げるセクション
それぞれの工程の中で一つ一つ職人が丁寧に手作業で作っています。ちなみに日本で言う職人って堅いイメージですがここはアメリカ。
みんなすごくラフな格好で作業していますが、手元はとても繊細な作業をしています。
1. 板の材料を作るセクション
まずはじめに、板の材料を作るセクションを見ていきましょう。
1-1. 板の芯材を作る工程
一番最初に登場してくるのは、そう“木”です。
スキーの芯材(中心に入る部分)になるのがこちらの木です。
たくさんの木を色々な方向から張り合わせることにより、真っ直ぐに、強度にばらつきが出ないようにしています。
それぞれの板のサイズに合わせるための専用の型で、この太い状態の木をカットしていきます。
この型に合わせて切ることで最終的にそれぞれの板の中に入る材料となります。
次がこのプラスチックみたいな素材のもの。
これが何になるかは後ほどわかってきます。
こちらも同じく型に合わせて切っていきます。
このプラスチックみたいな素材をカットした材料と、先ほど型に合わせて切った木の材料を、
この様な形で張り合わせます。
そして出来たのがこれ。こんな形で貼り合わさったら分かる人はわかるのではないでしょうか?
そう、このプラスチックみたいなものは最終的にスキーのサイドウォールになります。
このかたまりのままでは、とうていスキー板の中には入らないのでこれを薄くスライスしていきます。
スライスするともっと形としてわかってくるのではないでしょうか。
でも実はまだスキーの材料として完成していません。
これでは全体が均一な、張り合わせただけの木とプラスチック状態です。
次に登場してくるのがこの大型の機械。
この機械の中を先程スライスした木を通していきます。
するとこの四角かった板がこの様に端が薄くなって真ん中が太い状態になって出てきます。
だんだんと板の形が見えてきました。
この形に切られた板たちはこうやってストックされていきます。曜日ごとにどの板を作っているかわかるように配列しています。
さらに実はまだこれで材料として完成したわけではありません。
まだ端など荒くなってしまっている部分などあるのでここは職人の見せ所、一つ一つ丁寧にサンディングをかけて仕上げます。
ここまで来てやっと板の芯材となる木材が完成します。
1-2. ソールを作る工程
次に作っていくのが見たらすぐに分かるソール。
最初はこんな感じでただのロールになってます。
これをまたまた型に合わせてカットするとこの様な形になっていきます。
この黒と白の部分を一つ一つはめ込んでソール素材を作っていきます。
はめ込んだら一旦仮止めでテープで固定すると、こんな感じにソールが完成です。
1-3. エッヂを作る工程
続いてはエッヂ部分。
この長い状態の金属がエッジになっていきます。
これまた手作業でサイズに合わせて曲げていきます。
曲げたエッジたちはこの様にそれぞれのサイズに合わせてかけておきます。
先程作られたソール素材とこの金属たちを貼り合わせていきます。
これまた一つ一つが手作業で丁寧に貼られています。
ある程度の長さで曲げてあり、最後は一つ一つをグラインダーで長さを合わせてカットします。
サイズが合ったらクリップでしっかり固定してぴったりサイズになるようにします。
これはまさに職人技ですね。
位置が全部決まったら、金属の一つ一つの貼り合わせ部分に接着剤を付けて貼り合わせます。恐ろしくらいにマメな作業。
貼り合わせが完了するとソール側の素材が完成です。
1-4. トップシートを作る工程
次はトップシート部分。
これが皆さんのよく目にするスキーの部分ですね。この部屋が印刷をしたりトップシートを作ったりする部屋です。
まず初めに、この大型のプリンターでグラフィックを1枚のシートにプリントします。
ただこのプリントされた時点では反転された状態で出てきます。
反転された状態でプリントされたものを実際トップシートの素材となる物に熱を与えてプレスして転写します。
熱を与えプレスするとこの様に真っ白になってトップシートの素材に転写されます。これはPioneer109の例です。
左からプリントされて出てきた状態のもの、真ん中の真っ白が転写後のシート、そして左側が転写されトップシートの素材になったものです。
ICELANTICはアートワークにもこだわっているのでこの工程の色合わせはものすごく重要視されています。
最後は左右を分けて大きなカッターでカットしてトップシート素材の完成です。
そしてここまでで作ってきた材料達がこの様に棚にスタンバイされ次のセクションに入ります。
2. 集まった材料を組み立てるセクション
ここからはそれぞれ作ってきた材料達が全部集まって組み立てるセクションに入ります。
いろいろな工程で作られてきた材料たちはここで一気に組み上げられます。
ここで組み上げるのに必要になってくるのが金型。
それぞれのモデルの形に出来た金属の金型を用意してここに材料を埋め込んでいきます。
ちなみにこの金型はSABRE99です。
金型は上と下に分かれていて下の方に溝が掘ってありそこに材料を入れます。
最初はさきほど紹介したソール素材から入れて、グラスファイバーシートや最初に手間ひまかけて削り出した芯材などをどんどん入れていきます。
この作業も1本1本が手作業で組み立てられます。
それぞれの素材は企業秘密の特殊なボンドにて1枚1枚丁寧に貼り合わせていきます。
最後にトップシートをこの様にのせて。
上の金型で蓋をしたら組み立て完了です。
この組み立て終わった材料たちを次は大型のプレス機に挟み込んでもの凄い圧力と熱でプレスします。
これだけ大きな機械にあの薄いスキー板がプレスされてます。
とても大掛かりな作業です。
プレスをすると先程組み立てていた物が全てひっついてこの様に出てきます。
見ての通りざっくりとプレスされて、余計なボンドや材料がはみ出た状態になり、1枚の板として出来ます。
これで一旦組み立てのセクションは終了です。
そして次のセクションへこの板たちが送られていきます。
3. 組み上がった板を綺麗に仕上げるセクション
ここまでで、板の材料を作り組み上げる工程は全て終了し、
綺麗に仕上げて製品として完成させるセクションへと入ります。
最初はこの1枚の板として出てきたスキーを大雑把に切り出します。
切り出すとやっとスキーの原型が見えました。
ただこのままだとガタガタ状態ですのでまだ全然完成とは言えません。
ここからこの様な機械を使って表面や角、エッジを綺麗に仕上げていきます。
これまた1枚1枚を手作業で仕上げていく職人技、この工程で1枚の板に対して基準の仕上がりになるまで研磨し続けます。
すごく細かいところまでを丁寧に確認しながら作業を進めていきます。
そしていよいよ完成したのがこのスキーたちです。
長い工程を得てやっとこの形に仕上がりました。
あとは最後に1本1本をしっかりと出荷検品をしてラッピングをして最初に見て頂いた状態になり、それぞれの地へ出荷されていきます。
工場見学まとめ
いかがでしたでしょうか?
普通ならここまで細かくスキーが作られていく工程を見ることはなかなかないかもしれません。
ICELANTICのスキーはHAND MADE USAと書いてあるだけのことがあり
本当にしっかり一つ一つの作業を手作業でたくさんの職人の手によって作られています。
自信を持って丁寧に作られているスキーだからこそ、この様に工場の細かい工程まで見ていただくことが出来ます。
日本国内で流通しているICELANTIC SKISも彼らの手によって作られ皆様のもとに届けられています。
ぜひこのスキーを大切に使っていただき最高のスキーライフを送ってくださいね。
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RidersVoiceとして各ライダーのコメントも掲載していますので参考にしてみてください。
August 10, 2018/GEAR/コロラドスキースキー板ハンドメイド工場見学職人