なぜ白馬には豊富な雪が降るのか?この冬は天気のことを知って極上パウダーを楽しもう!!

私の生活する長野県白馬村。毎年12月頃になれば雪が降り当たり前のようにスキーやスノーボードを楽しんでいますが、なぜこの白馬村にはこんなにもたくさんの雪が降るのか…
白馬のスキー場についてはこちらの記事にまとめましたので参考にしてください→白馬エリア全10スキー場完全ガイド&リフト券・シーズン券を徹底比較

白馬の雪景色

世界的に見てみるとほぼ同じ緯度にはアメリカのサンフランシスコなどがありそこは夏は暑すぎず冬は寒すぎずと一年中過ごしやすい気候の場所として有名です。
ほぼ同じような緯度にありながらもなぜこんなにも気候が違うのか!?そこには日本ならではの位置関係や高い山々が関係してきます。
今回はスキーをするにあたってなくてはならない雪の話をしてみたいと思います。皆様のスノーライフに少しでもお役に立てればと思っておりますのでよろしければ読んでみてください。これで少しでも気候のことが分かれば極上パウダーとかを逃すことがないかもしれませんよ。

※今回の記事内にある天気図に関しては少しでもわかりやすいようにシンプルにしましたのであくまでこんな形になったらという参考として見てください。

そもそもニュースとかで聞く冬型の気圧配置とは?

白馬に雪が降る要因としては色々とありますがまずは基本的に冬という季節の天気について覚えておかないとどのタイミングで雪が降ってくるかなどがわからないと思います。まずは基本的なところから話していきたいと思います。
冬になるとニュースなどよく耳にする西高東低冬型の気圧配置などの用語、なんとなく聞いている方などいるかも知れません。まさに言葉の通り西高東低、この気圧配置こそが冬型の気圧配置なのです。

西高東低とは何か?

西高東低とは日本の西側に高気圧、東側に低気圧という気圧の配置状態になります。
高気圧とは簡単に言うと周囲より気圧が高い部分の事を高気圧と言います。高気圧の中にも色々な種類があります。
低気圧とは高気圧と反対で周囲より気圧が低い部分の事を言います。低気圧にも色々な種類があります。
この気圧の配置によって天気や気候、風の流れなどが変わってきます。

西高東低

西高東低の気圧配置が与える影響

西高東低の気圧配置になると日本では厳しい冷え込みになります。
なぜ冷え込んでしまうかと言うと、気圧の位置が関係してきます。空気は性質上、気圧の高いところから低いところに向かって流れていきます。つまり日本の西側に位置するユーラシア大陸、ロシアや中国など北西の方の寒い地域にある冷たい空気が東側の低気圧側に向かって流れていくのでその間にある日本はこの冷たい空気にさらされて寒くなるのです。

冷たい空気の流れ

冬型の気圧配置には里雪型と山雪型の2つがある

西高東低になるとなぜ日本が寒くなるというのはご理解いただけたと思います。
ではその西高東低になる事で雪が降ってくる要因にはなるのですが、更にこの西高東低、冬型の気圧配置には大きく分けて山雪型里雪型の2つの型があります。その型によって雪の降る場所なども変わってきます。いずれにしても冬型の気圧配置ですので日本海側では雪になることは変わりないのですが車で出かけたりする方などには気持ちの持ち方などが変わってくるかと思いますので書いておきます。

山雪型とは?

その名の通り山雪型は山間部で大雪になりやすい気圧配置になります。
いわゆる通常の西高東低の気圧配置で等圧線が日本列島に並行して南北に縦にはしり、おおよそその等圧線が日本列島に4本以上並んでいると冬型と言われています。もちろんその等圧線の日本列島にかかっている数が多ければ多いほど冷たい空気の流れ込みが激しくなるので寒さは増してより寒さが舞い込んでくる形になります。

山雪型

里雪型とは?

こちらは山雪型とは反対に平野部などで大雪になりやすい気圧配置になります。
気圧配置は全体的には西高東低な気圧配置ではあるのですが、等圧線が日本海の上空で湾曲した形になった時が里雪型と呼ばれます。
この湾曲した部分の中心部を寒冷渦と呼びとても寒い寒気の渦が出来、大気の状態がとっても不安定な状態になりこの様な状態になると平野部の上空に大きな雲を発生させ大雪を降らせるということです。

里雪型

里雪型のこの寒冷渦の動き方によっては山雪型に変わることもありますが、この里雪型に一度入ると寒冷渦はゆっくりと動いていきますので日本海側、つまり白馬などでは冬型の気圧配置が続きますので大雪が続く状態になります。

白馬にたくさんの雪が降る3つの要因

ここまで読んでいただければ日本の冬が寒くなる要因などはおおよそ分かっていただけたかと思いますが、ここからは更にピンポイントになぜ白馬にはたくさんの雪が降るのかという事で3つの大きな要因を書いていきたいと思います。
3つの要因のキーワードは季節風対馬海流北アルプスです。

1,冬の季節に北西から来る【季節風】

西高東低のところでも触れていましたが、この冬型の気圧配置になることで日本列島に冷たい空気が入ってくるという所はご理解いただけたかと思いますが、この冷たい空気は決まった季節に吹き込んでくるのでこの事を季節風と呼ばれます。
季節風は日本列島全体に吹き込んでいますが、この季節風があるからこそ白馬に豊富な雪を運んできてくれるのです。

季節風

2,日本海を流れる【対馬海流】の海水気温

まさかここで対馬海流という全く関係なさそうな話題が出てきましたが、この対馬海流こそ雪の元となる大切な要因なのです。
対馬海流は日本海では暖流と呼ばれとても暖かい海流が北に向かって流れています。おそらく学生時代に理科や社会などで習ったかと思います。
暖かいとはいえ冬ですので温度は10℃くらいですが、冬の気温から考えれば暖かいのです。このため、海からは温泉の湯気のようにものすごくたくさんの水蒸気が発生し雲となり空に登っていきます。
そして先程話した季節風がこの雲を日本列島の方に運んでくれます。

対馬海流の影響

3,日本の屋根【北アルプス】の山々

日本列島に運ばれてきた雲はどうなるのか、向かう先には白馬から見ることが出来る北アルプスの山々、そこに雲はぶつかっていきます。
その雲が季節風に押されて山にぶつかることで雲は更に上空に上昇し、その上昇した先にはとても冷たい空気があるのでそこで水蒸気は雪に変わり白馬に降ってくるというわけです。ちなみにこれが先程話していた山雪型というのです。

白馬に雪が降る図

ちなみにこの3つの要因のうち季節風(冷たい風)と対馬海流(暖かい海流)部分で話した温度の差が大きくなると西高東低の気圧配置が日本海上空で湾曲し平野部でたくさんの雪が降る里雪型になります。

「なぜ白馬で豊富に雪が降るのか?」のまとめ

いかがでしたでしょうか?
できるだけ噛み砕いて説明してみましたが結構長くなってしまいました。
要はこの白馬だけでなく日本列島というのはとても雪が降るための条件がしっかり整っているということです。他の国ではこの様な条件に値するところはなかなか無く、標高が高かったりすることで雪が降ったりしています。
私が思うにこれだけの条件が整うのはまさに奇跡としか考えられません。ですのでせっかくこの奇跡的に降ってくる雪たちを使って遊ぶことの出来る日本ですので日本中の人にスキーやスノーボードを楽しんでもらうのが私の密かな野望でもあります。是非この冬はこの奇跡の雪を使って楽しみましょう。

ちなみに私自身はなぜこんなに気象について詳しいのかと言うと実は空を飛ぶ熱気球のパイロットなどのライセンスなども所持しています。
熱気球は気象に大きく影響されやすい乗り物ですので日々天気図とにらめっこしていたり、もちろんライセンスを取得する時の試験項目にも気象という部分がとてもたくさん入ってきます。
実はこんな感じのこともしてました。少しは説得力の足しになりましたでしょうか?

熱気球パイロット

October 2, 2018/COLUMN/

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