近年スキー・スノーボード業界で聞くようになってきたロッカー(Rocker)スキー・スノーボードですがいったいそれはこれまでのスキー・スノーボードと何が違うのでしょうか?
スキー・スノーボード雑誌やWEBでは当たり前のように書かれていたり会話の中で出てきたりしますが、なんとなく聞いていた方などもいると思いますので今回はこのロッカースキーについて書いていきます。ロッカースキーと言っても最近では色々な種類のロッカー形状がありますのでどんどん深く入っていきますよ。これからパウダースノーやバックカントリーなど楽しみたい方にはご参考に。
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またまた私の主観で書いている部分などもあるので皆様の参考程度で読んで頂ければ幸いです。
Contents
ロッカースキーとキャンバースキーは何が違うの?
【スキーの種類と選び方】最高のスキーライフは板選びから始まる!でも触り程度で書いてきましたが今までの普通のスキーはキャンバーという風に呼びます。大きく分けてキャンバースキーとロッカースキーがありますがそれぞれのスキーの特徴をまずは覚えてください。
キャンバースキー(Camber)とは?
キャンバースキーはスキーの中でも一番ベーシックな形状でセンター部分が地面から浮き上がってアーチを描くように曲がっています。
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キャンバースキーのメリット
キャンバースキーのメリットはスキーのトップ(前方)からテール(後方)までしっかりと圧をかけやすいようにこの様な形状になっています。
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圧が伝わりやすい事でエッジグリップも良くなるので硬い整地された雪面などにも有効的です。
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キャンバースキーのデメリット
一見よいことばかりのようなキャンバーですが、デメリットはあります。それはあまり力を加えずともエッジが雪面に入っていってしまうので引っかかりやすかったり、柔らかい雪面状況の中ではスキーが雪の中に埋まってしまったりします。これがキャンバースキーです。
最近ではキャンバースキーのことをフルキャンバーと呼ぶことが主流になっているみたいですね。
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ロッカースキー(Rocker)とは?
今回の話の中で本題、ロッカースキーはキャンバースキーとはまるっきり逆でスキーのセンター部分に浮き上がりがなくトップ(前方)とテール(後方)が持ち上がった様な形状になっています。イメージとしては大げさかもしれませんがきれいにアーチを描いたお皿の様な感じです。
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ロッカースキーのメリット
ロッカースキーのメリットはスキーを履いた際に雪に接地している部分がセンター寄りの部分だけになりますのでスキー自体が普通のスキーより全体的に短く感じられるというところです。
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短く感じるということは同じ長さのスキーを履いてもキャンバーよりも操作がしやすくなるということです。
また最近のロッカースキーにはファットスキーと言って普通よりも太いスキーなどでもよく使われている形状です。ファットスキーについてはここで解説してしまうと話がそれて長くなってしまいますので「ファットスキーで新しいスキーライフを楽しもう!使用目的に合わせた太さと長さの選び方」をご覧ください。
ロッカースキーが活躍する場面としては新雪の雪が深い時や春のザバザバになってしまったコンディションの時には浮力を感じることができますので、キャンバースキーよりも滑りやすくなります。
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短く感じたり浮力を感じやすかったり、よいことだらけのように思えるロッカースキーですが、キャンバースキーにデメリットがあるようにと同じでロッカースキーにもデメリットはあります。短く感じるということは同じ長さのスキーでも安定感はやはりキャンバーのほうが良くなります。もちろん硬い整地された斜面でもキャンバーに比べるとエッジグリップが弱くなってしまいます。
最近ではスキー全体がロッカーしているスキーのことをフルロッカーと呼ぶのが主流になっていますね。
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ロッカースキーとキャンバースキーの良いとこ取りをしたのが最近は主流
上の説明でなんとなくロッカースキーとキャンバースキーの違いと特徴はわかって頂けましたか?
じゃあロッカースキーとキャンバースキーの良い所を活かしたスキーがあっても良いんじゃないか?って思いますよね。
スキー業界の方も道具の進化は常日頃から考えていますのですぐにそれに気がつきます、世の中にはその良いところ取りをしたスキーはすでにたくさん開発されています。
その中でも特に最近多く使われている形状のチップロッカー(トップロッカー)とチップテールロッカー(トップ&テールロッカー)の2つを紹介したいと思います。各メーカーによってこの 〜〜〜ロッカー と呼ばれ方は違いますが形状としては主にこの2つになります。
チップロッカー(Tip Rocker)とは?
トップロッカーと呼ぶこともありますがその名の通りスキーの前方方向のトップ側だけがロッカー形状になっているものをチップロッカーと言います。
足元のセンター部分はキャンバースキー同様にキャンバー形状でトップ(前方)側だけがロッカー形状になっています。
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トップ側だけがロッカーになっていることでターンに入る時に入りやすくなったりします。ロッカーの良い所でもある操作性の良さとキャンバーの良さである圧をかけやすいという所を合わせたのがこのチップロッカーなのです。

ターンの際にはスキーを傾けてターンしていきますが、トップ側がロッカーになっていることで長さを感じず傾けやすいということですね。

エッジはスキーを傾けることで長さの分だけ使えるのでトップ側がロッカーしていることで通常よりも長い板を履いてもターンのしやすさは少し短いスキーと同じ様な操作感で扱えるので同じターンのしやすさで選べば少し長いチップロッカーのスキーのほうを選ぶことで安定感は上がりますよね。
スピードを出してゲレンデをクルージングしたい方などにはこちらのチップロッカーがおすすめです。
チップテールロッカー(Tip/Tail Rocker)とは?
トップ&テールロッカーと呼ぶこともありますがこちらもその名の通りトップ側(前方)とテール側(後方)だけがロッカーしているスキーのことをチップテールロッカーと言います。
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足元のセンター部分だけにキャンバー形状が残っていてアーチしていることでセンター部分に圧をかけると…

トップ側とテール側が持ち上がりフルロッカーと同じ原理になります。
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トップ側とテール側だけロッカーをさせることでフルロッカーと同じ様に短いスキーを履いているかのような操作性が得れます。しかしフルロッカーと違うところは少しだけでもキャンバーのアーチ形状が残っていることでキャンバーの良さであるエッジグリップの良さは残ります。
チップロッカーと同様にターンの際に傾ける動作もよりしやすくなりますので長い板を履いても操作性は上がり長いエッジを使うことで安定感を更に上げることが出来ます。最近ではファットスキーなど太めのスキーでも操作性を上げるためにこの形状が使われることが多いです。
初中級者や久しぶりにスキーをする方などにはオールラウンドスキーと同じ長さを履く場合でもこのチップテールロッカーを選択することでターンが楽になりますのでおすすめです。
ロッカースキーのまとめ
ロッカースキーについて書いてきましたがいかがでしたでしょうか?
あくまでこちらに書いているのは基本的にそれぞれのロッカーやキャンバーのメリットやデメリットを書いています。
しかし最近はスキーの開発技術もどんどんと向上してきたりしてキャンバースキーだから曲がりづらい、ロッカースキーだから安定感が無いという事が一概に言えることではないです。
現在のスキーは色々な形状が登場したことにより、そのスキー(モデル)に対して一番合っている形状を採用しているということです。
大切なのはどの様な用途に合わせてこのスキーは作られているかということを知ることがすごく大切なことだと思います。用途を知ることでこの形状というのがなぜそれが採用されたのかなどもわかってくるのでスキーを履く時の参考にしてみてください。
August 20, 2018/GEAR/キャンバースキースキースキーの選び方スキー板ファットスキーロッカースキー