MAIDEN111やNIA PRO105は男性でも乗れる?NOMAD105との違いは?男性視点で徹底検証!

レディース?ユニセックス?

近年のスノー業界では女性向けモデルの拡充が盛ん。例えば私のスポンサーのANON 来季カタログではウィメンズモデルが前半のページになっていたり、もちろんモデル数やデザインもメンズ以上の力の入りようだ。

ICELANTICもその例に漏れず毎年レディースモデルのラインナップを拡充させているのだが、20/21シーズンモデルのほとんどは男性でも十分に履きこなせる洗練されたデザイン。特にNIA PRO105のヤナギラン、MAIDEN111の厳島神社をモデルにしたデザインは気になっている男性も多いのでは?

山の地形や雪、そして体格が違えば楽しみ方も異なる。欧米人と比べるとアジア人はやはり小柄で、よりRがキツめで軽快感のあるレディースモデルを選べばもっと快適なシーズンをすごせる方も多いはずだ。日本ではそういった理由で“ユニセックス”モデルとしておすすめしている。

読者のみなさんも先入観を一旦フラットにして、自分に本当に合う板を選んでみてほしい。

とはいえ「男性が乗ると板が柔らかすぎるんじゃないの?バタつきや不安定感があるんじゃないの?」と疑問に思われる方もいるのではないだろうか? そこでMAIDEN111・NIA105・NOMAD105を体重とパワーのあるICELANTICライダー、“くんさん”が徹底レビュー!

MAIDEN 111 177cm

足元が111mmとMAIDENシリーズの中では一番太いモデルだが、滑り出してみるとNOMAD105よりも明らかに軽快に感じられる。それと同時にそこまで軽いと“暴れたりバタついたりするのでは?”と一抹の不安がよぎるが、実際にターンをしてみるとそのようなネガティブな要素は全くというほど感じない。
NOMAD95も同様だが、軽さと安定性という相反する要素を両立しているのは不思議な感覚だ。

NOMAD/MAIDENシリーズ共通の扱いやすさはそのまま。その軽快感と安定感のある太い足元でゲレンデサイドの地形をどんどん飛んだり遊んでみたくなる。ザラメで荒れた斜面を大回りしてみたり、ジャンプのランディングに多少バンプがあったりというコンディションで試しても、柔らかすぎたりライダーが力でねじ伏せなければならない感覚はない。男性でも気軽にフリーライドを楽しむことのできるポテンシャルの高い板に仕上がっている。普段ゲレンデとそのサイドカントリー中心に楽しむならばこのMAIDEN111、相当に面白い!

また新雪用の板は身長+10cm前後の板をチョイスするのが定番だが、(私も身長173cmで普段NOMAD115 181cmを使用している。)NOMAD/MAIDENは前後のロッカーが多めに取られており有効エッジが短めで、ワンサイズ長めを選んでも扱いにくく感じづらい。先日一般ユーザーさんから「170cm代の身長で180cm前後の板を選ぶと、ツリーランや行き帰りのトラバースで長すぎて取り回しのしづらさがある」との声も聞かれた。取り回し・扱いやすさ重視の方はぜひMAIDEN111を試してみてほしい。身長程度の長さを選んだとしても、太い足元で十分な浮力が得られる。

スペック上はMAIDEN111 177cmのR18mとNOMAD105 176cmのR17mとほとんど変わらないはずだが、試乗ではMAIDEN111の方がターン後半の走りが爽快で、より気持ちよくカービングが切れる印象を受けた。
NOMAD105はハーレーやグランドツーリングカーのような重厚な乗り心地で長距離を安定して滑り、また攻めるときはしっかりとした手応えのある板。それに対し、MAIDEN111は250ccクラスのバイクのように軽く旋回し、男女問わずどんな地形でも遊べる板だ。ファットなのに軽快で小回りのきくセッティングは日本人の体型、日本の雪、日本の山によく合っている。ここに美しい日本の風景が描かれているのがすばらしい。日本のライダーとICELANTICスタッフの誰もがお気に入りだ。


MAIDEN111は数年前からあったモデルですが、女性向けに描かれたグラフィックやカラーを敬遠して試乗もしていませんでした。ですが「(例えば野沢温泉の)ナチュラルパイプや林間コースの壁で遊んでそのままパウダー・ツリーランも行っちゃう。リフトまでの整地でカービング、ポコジャンでスピンしたりグラブしたり。軽いからなんでも楽しめる。」と降雪の多い地域で普段使いするには最高に楽しくて、食わず嫌いを後悔しましたね。

より攻めた滑りをするならNOMADの方が良いと思いますが、多くの方にはMAIDEN111で十分に滑りも楽しんでいただけると思います。あくまで想像ですが、軽い方が乗るとNOMAD105のように多少荒れていてもゆったりと余裕のある乗り味に感じられるかなと。ぜひ試乗会で試してみてください。

・おすすめ
野沢温泉・妙高・北海道など降雪が多い場所。
パークもいいけど地形で遊んだりが好き。
もちろんカービングも切れた方がいい。
軽い板が好み。これまで使っていたファットスキーは重たくて疲れる。
グラフィックに一目惚れ。修学旅行で行った。

・他のモデルをおすすめします
体重・パワーのある方が風で叩かれているバックカントリーなど、硬い荒れ地で使う。
(逆に体重・パワーのない方がバックカントリーで使うにはおすすめ。)
太い板の乗り味に違和感。太い足元でアイスバーンのエッジングが不安、苦手。
軽すぎる板は逆に疲れる、不安。

NIA PRO 105 169cm

「久しぶりに乗るフルロッカースキー。前後に雪面を押さえつけるキャンバーの感覚がなく滑り出しで一瞬戸惑うものの、エッジを立てるとリフレクティブロッカーのおかげで一気に安定し、雪面に高速でターン弧を描いてゆく…」

リフレクティブロッカーとは、ロッカーのそり具合とサイドカーブのRが同一の構造のこと。有効エッジの長さはキャンバースキーと変わらない。
この構造自体は他社で採用しているところもあるし、ICELANTICの過去モデル【NOMAD125 / Gypsy / Gypsy SKNY】でも採用していた。わざわざ新しい名前が与えられたのは「SABA/NIAのプロコラボモデルの売り文句として」という理由ももちろんあるが、再設計されたプロファイルが“別物のように良い”からに他ならない。

まずはゲレンデでのインプレッション。ユニセックスモデルらしく非常に軽快な乗り味とスイングウェイト。前後に雪面を押さえつけるキャンバーの感覚がないフルロッカー独特の感覚は、ゲレンデではまるで軽のクロカン4WDのよう。「突き進む戦車」のNOMAD115や「巡航GTカー」のNOMAD105と比べ、荒れ地でもどこでも乗り越えてどんどん走破していけるように感じられて楽しい。MAIDEN111と同様に、変な弱さ・腰砕け感やバタつきは感じない。ただSABA同様、後傾(着地)には要注意。抜けそうになる感覚がある。

当て込んだりとはこういう動きのこと。Photo:Satoshi Saijo
フルロッカースキーは赤丸付近からエッジングが始まる独特のフィーリングを持つ。

フルロッカー特有のすごく短い板に乗っているフィーリングからエッジをかけていくと、それまでの感覚が嘘のように板が長くなってビタッと安定し、多少荒れていても思い切ってターンしていける。エッジングをしていない状態からテールを振り出して、ずらすターンも簡単だ。良好な操作性でパウダーのない日のゲレンデでも楽しい一日を過ごせる。それはつまり、パウダーランの行き帰りのトラバースも面倒な作業ではなく、楽しみの一つに変わるということだ。
また、ゲレンデ脇のポコジャンや地形で遊ぶのはもちろん、壁や盛り上がった雪に当て込んだり板を一気に横に向けてスプレーをあげる“サーフライド”が存分に楽しめる。そのやりやすさと楽しさはフルロッカースキーの特権だ。

ただ、大きく飛んだときの踏切・ランディングの不安定さは否めない。やってやれないことはないのだが、ロッカーキャンバーのNOMADやMAIDENの方がやりやすく感じた。マニアックな使い方ではあるが、ジャンプをそれほど重視しないグラトリやジブで、新しいスキーの遊びやスタイルを探求する方にもおすすめだ。バンクコブで当て込んで滑るのも面白いだろう。

さて、いよいよお待ちかねの新雪テストに突入である。試乗日の白馬八方リーゼン上部には新雪が積もっていたが、残念ながら湿雪。突っ込んでみると、湿った雪でもまったく関係なくフルロッカー独特の浮遊感が感じられて、本当に気持ちがいい。この浮遊感に魅せられてフルロッカーを好むファンも多い。

個人的な趣向なのだが、そこまでパウダーが深くない日は足元が100mm前後の板でパウダーの中で倒し込んだり、上下に泳いでいくように滑るのも好きだ。これが足元110mmを超えてくる太い板だと勝手に浮いてしまいそうはいかない。NIAは細すぎず太すぎずの絶妙な太さ。おかげでゲレンデでの汎用性も高くなり非常にバランス良くまとまっている。

NOMAD105とどちらがフィーリングや操作性を含めて良いのかについて、私には甲乙付けがたく個人の好みとしか言いようがない。だが、これはどちらもある程度乗れる人の意見だ。フルロッカーのエッジフィーリングは初心者にも扱いやすいとするメーカーもあるが、中には大きく違う感覚に戸惑い、すぐにはうまく乗りこなせない方もいるだろう。フィーリングが合わない方には難しい板かもしれないが、一定のファンのいるフルロッカーというジャンルを体験してみてほしい。

私のような男性が乗る、と考えるとフリーライドならNOMAD105、フリースタイルならNIAといったところである。この日MAIDEN111とNOMAD105も試乗したが、結局途中からNIAで営業終了まで楽しんでしまった。好きな板だ。

・おすすめ
グラフィックに一目惚れ。
降雪量の多い地域。パウダー用に特別な板がほしい。
カービングも、ゲレンデでくるくる回ったりも好き。
サーフィンやスノーボード・雪板もやっている。
フルロッカーの乗り味が好き。

・他のモデルをおすすめします
シールを用いてパウダー以外の硬い面を登る。(接雪面積が少なくグリップしない。)
フルロッカーのフィーリングが合わない。
(1台で)硬くて荒れた斜面も常にガンガン攻めたい。


女性プロモデルってことになってますが、私も夢中になってハマっちゃうような板です。試乗会でも特にネガティブな意見は聞きませんし、リフレクティブロッカーはかなり乗りやすく作ってますのでジャケ買い(グラフィック一目惚れ買い)してもほとんどの人は大丈夫と思います。私はこれまでにK2 PontoonやGypsy SKNYなどフルロッカースキーに乗ってきたのでネガな部分もそういうもんだ、と思って気づいてないだけかもしれませんが… 結局のところフルロッカーの特性が合う合わないじゃないでしょうか?
気になったら試乗会で乗ってみてください(笑)

NOMAD105 176cm

ICELANTICのラインナップの中で、全てにおいてバランスがとれたマスターピース。
「どんな状況でも80点以上が狙えるスキーとは?」NOMAD105がICELANTICからの回答だ。
来季は176, 186cmが追加され、日本では171, 176, 181cmで迷われる方が多いだろう。10cm刻みから選ぶよりもはるかに満足度が高まった。

さて、昨年モデルからコアが変更され軽くなったNOMAD105だが、MAIDEN111やNIAと比較すると多少どっしりとした安定感がある。アメリカではそれぞれのゲレンデもめちゃめちゃ広いから、延々と続く道路を走破するハーレーやアメ車のように長距離での快適性が考えられている。実際、コロラドでNOMAD105に乗るとこの上なく気持ちよいクルーズができるのだ。

日本で使ってもその快適性は変わらない。ロッカーキャンバーは普段からゲレンデをガンガン切って滑ることができ、たまにパウダーが降っても履き替えないで楽しめる。キャンバーがあれば他の板から乗り換えたときの違和感も少ない。足元のフレックスはしっかりとしており気持ちいいカービングが引き出せる。テールのロッカーは柔らかめでパウダーでのコントロール性能も兼ね備える。

今回新しい176cmを試したが、171cmよりは新雪で沈みすぎる不安感もなく、181cmよりターンのキレがよく感じられ、小さな地形でも飛んだり遊んでみようという気にさせられた。たった5cmの差ではあるが、フィールドに持ち出したとき気持ちにあたえる影響は大きい。

ユニセックスモデルやNOMAD95と比較すればどっしりしているが、よりしっかりしたターンの手応えがある。また、NOMAD115と比較すれば軽く取り回しもしやすい。
フリーライド・フリースタイルを意識したディメンションは、例えば基礎スキーや普通のセットバックが多い板から乗りかえるとテールが長く、ターンがしづらく感じる方も。そんな方にはPIONEERシリーズがおすすめだ。

まずはNOMAD105に乗ってみて不満が出たら他のモデルを検討してみよう。それぐらいICELANTICのラインナップの中で基準になる板だ。

・おすすめ
なんでも1台でやってみたい。
ICELANTICでどれを選んでいいかわからない。

・他のモデルをおすすめします
硬かったり荒れたバーンも攻めたい→NOMAD115
圧倒的なパウダー体験またはフルロッカーを試してみたい→SABA, NIA
パークも攻めたい→NOMAD95, MAIDEN
テールが長くて違和感。もっとテールの抜け重視→PIONEER
軽さ重視→NOMAD LITE, MAIDEN, NATURAL
もっとカービング→SABRE, NOMAD115
バックカントリーでの使い勝手→NATURAL


癖がなくてコメントに困る板。ICELANTICはカービング重視のSABREでもノーズロッカー入ってたりして、“完全に何かに特化した板”って出さないんですが、その多様性を体現する“なんでもできるモデル”。KeystoneとかBreckのゲレンデで乗ると山に合ってて「ほんとこれ1台でいいなー」ってなる。日本はコロラドよりかなり降雪があるのでもっと太かったりフルロッカーだったりを積極的に選んでもいいと思いますが、ICELANTICの基本はこれですね。
ビンディングの取り付け位置がかなり後ろだったりのトラディショナルな板から乗りかえる場合はPIONEERの方が違和感少ないと思います。PIONEER96もNOMAD105と同様にICELANTICの“ベーシック”を表現している板です。

長さについて

ICELANTICの全てのスキーは表記の長さより2〜3cm短め。私の身長は173cmだが177, 176cmの板とほぼ一緒だ。

店頭や試乗会ではそれを加味してモデル・長さを選んでみてほしい。

試乗条件

場所:白馬八方
日時:20年2月25・26日
天気:25日:雪  26日:くもり・濃霧
雪質:ザラメ・ベタ雪・湿新雪など
全てのスキーのセンター位置はコアセンター(CC)より4cmバック設定。

男性
身長:173cm
体重:75kg

March 14, 2020/GEAR/

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