【大変?】FREESKiiNG MAGに載ってる写真の舞台裏【簡単?】

FREESKiiNG マガジン

フリースタイル・フリーライド・モーグルに強いスキー雑誌【ブラボースキー】からさらにフリースキーに特化した【FREESKiiNGマガジン】。2007年の創刊から数えて13冊目の2020年号は先日11/15に発売になりました。

近年WEBに活路を見出す編集部も多く、雑誌というメディアはアーカイブして読み返せる内容にどんどん進んでいます。そんな非常にコアな内容を創刊当初から「本とDVD」でまとめ続けている雑誌です。
ヘンリック・ハーロウの9thward時代など、今を輝くトップライダーたちの若手時代のインタビューや、その年のビデオ・イベント・移籍情報など資料的価値も高い。こんなに情報集めるのは本当に好きな気持ち・情熱がないと無理で、それを毎年毎年まとめてきたことってやっぱりすごいですよね。ニッチなジャンルで商売を成り立たせることの大変さ、私の20代前半の頃なんて全然わかっておりませんでした。

そう、これはZINE・同人誌並の熱量で作られた商業誌なのです。

さて私は写真の注釈を読むのが好きなのですが、紙面の都合で詳細な機材・設定やバックストーリーが語られることは稀。そこで今回は自分が滑っている写真について書きますよ〜!

デビュー作でいきなり“ほぼ自撮り”!?


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2015年は札幌の奥地、といっても中心部から車で30分の採土場。今見返すと、これもダムですね。

自分がフォトグラファーとして撮影した写真はこれ以前にも使っていただいていましたが、この2015のグラビアページには自分が滑っているこの写真と、自分が撮った写真(T-crew洋平のWALLのカット)が同時に掲載され、ターニングポイントとなった写真。

この写真、クレジットでは撮影:Sugarさんになってるのですが、実は構図やライティングは自分でやってましてシャッターだけお願いしました。当時「誰にも撮ってもらえないし」と、尻込みしていた私に「構図さえ決めてくれればシャッター切るよ」と申し出てくれて非常に感謝しております。

これをきっかけにして「写真は誰かに撮ってもらうもの」という固定概念を壊すことができ、自撮りのプロジェクトへ繋がっていきます。

崖がデカすぎて、標準ズームレンズの24mm(APS-Hセンサーなので換算31mm)じゃ全然収まらず、フィッシュアイズームの14mm(換算18mm)。そして真ん中あたりの高さにランディングして左ターンで斜めに入ることでクニックをクリアー。この小さなRに真っ直ぐ突っ込むととても耐えられない!

EOS 1Dmk4 + ATX107 14mm ISO1000 F8 1/320
当時はSCOTTにサポートしていただいていました。

最近よく滑りに行くのは… ダム!?

2017は… ダム!

その当時「くんさん最近どこ滑ってるの〜?」『最近?ダムが多いかな・・・』という会話が実際にありましたが、それがいつの間にかひとり歩きして【くんさん=ダム】のイメージに・・・ 街中から雪が消えた春に、コンクリートやレールの撮影をしようと思うと必然的に山奥のダムを狙うことになります。といっても最初はスノーボーダーの撮影についていって、がきっかけです。

この時はビビり&緊張しすぎて板が引っかかって落ちそうになりました。仲間に引っ張りあげてもらいなんとか再トライで成功!落ちてたらどうなってたことやら・・・
ここはとにかく自分の恐怖心に打ち克つことさえできれば、滑っていくのは簡単です。

紙面に使われた写真は旭川のkazumaruくんに撮っていただきました。ロケーションのデカさの伝わる写真、ありがとうございます🙏💪👍


PHOTO:kazumaru


PHOTO: KEITA KUDO

徹夜で朝までストリート!?


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2018は北海道の奥地から。

札幌から5時間移動したスポット。本州でスキー場に通うにはそのくらいの移動が当たり前の方もいるかもしれない。しかし冬の北海道は高速もほぼすべて圧雪路というのもあり、道民からしてみたら本当に遠いロケーションでした。

金曜の仕事が終わってから向かい、撮影の準備をしてセッションが始まったのは3時。階段から飛び出すことを考えるとアプローチもスピードを出せるようにスムーズに、そして長く作らなくてはならない。階段も網目で、さらに粉雪でうまく乗らないという難工事。さらには階段のアプローチから手すりが完全に隠れていて見えず、乗れるだけのハイスピードで突っ込むとなると自分の感覚だけが頼りという、写真の見た目からは全然伝わらない難所が沢山。私の順番は最後で、この写真を撮ったときはもうすっかり朝。

この写真も自分で構図を決めてシャッターだけお願いしたセミ自撮り写真です。

EOS 1Dmk4 + EF24-105F4L 28mm ISO640 F7.1 1/100

EOS 1Dmk4 + EF24-105F4L 47mm ISO800 F7.1 1/80
擦らずにヒップとして使った作品。

パクリ?オマージュ?


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2019もダムですが、これは実はさっとリップを作って簡単に撮ったもの。実際に撮影も3本しか滑っておらず、撮ってくれた数丸くんの腕が良かったのですぐ終わりました。毎回こうやって簡単にいけばいいんですが、なかなかそうもいかないんですよね。

Photo: kazumaru

 

 

ちなみに柵をハンドプラントするのはこの作品のオマージュです。
パクろうとして真似してみても、どこかしらにライダーとカメラマンのスタイルが滲みでて全く違う作品になり、そうやって全体が少しづつ進歩していくから面白いですよね。スキーだけでなくスノーボードやMTBなど、近くて遠い別のジャンルから刺激やアイディアをもらったりしています。

ICELANTIC ジャパンチーム大活躍


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さて、いよいよ今年の作品です!
まずは付録DVDのレーベル・カバーショットになったこちら!ロケーションは長野県某所。とはいえわかりやすい場所なので、これまでにもいろんな人が飛んでいるのでは?FREERIDE WORLD TOURで来日していたライダーも、我々のあとにやってたみたいですね。

この日はフォトグラファーとしての西條さんと初セッション。石川と札幌でなかなか会えませんが、実は西條さんとの初対面は、西條さんが札幌にインラインで遠征してきたときに一緒に滑っているのです!笑
それってもう何年前の話だろう?その時はこういう関係になるとは思いもせず、いつの間にかチームメイトになっていました。

こういうことをしているとよく怖くないの?と聞かれるのですが、これまでの進化の中で動物が培ってきた本能があるので高いところから飛び降りるのはいつも怖いです。恐怖の無い人や無痛症の人は残念ながら早死の傾向があります。しかし雪質や斜度を見てここはイケると判断し、理性で恐怖をコントロール。恐怖を乗り越えてランディングしたその一瞬の安堵感が素晴らしくてクセになっちゃってますね。そういう時ってアドレナリンラッシュ(興奮)って言いますが、私の場合大体安堵です。

また、怖かったり緊張したときに支えになってくれるのはICELANTICの板を使うこと。公式ブログでこんなこと言うのはセールストークもあるんですが、実はこれって大マジです。
創業者のベン始めUSチームもJPNチームもICELANTICに携わるいろんな人との関わりが板とロゴマークには宿るので、ストレスのかかる場面で支えてくれるのはそういう関係性なんです。 良くしてもらったり、新しい出会いとか、そのブランドに関わって起こるすべてが自信になる。サポートしてもらうってただ道具をもらうだけじゃなく、そういうことだと思っています。他のライダーもブランドのサポートに感謝って言ってたら多分こういう事が言外にあるはず!

色々書きましたけれども、これまで飛んできた色々に比べたら雪がちょっと湿っててもまだ楽勝。5本ぐらい飛んで西條さんと色々なアングル・構図を試すことができました。

【Satoshi Saijo】2020アクションスポーツカレンダー
お陰様でカレンダーに載ることもできました。在庫僅少らしいので、気になる方はお早めに。

最後は特集の見開きになった野沢温泉スキー場のやまびこの沢。
飛べるほどRの立ったタイトな沢地形、しかもコース内として滑れるところってなかなかないですよね。野沢出身のライダーはみんなフリーライディングが上手いのはこういう環境を毎日滑っているからと実感します。

この写真はチームメイトで野沢ローカルの祥伍に撮ってもらい、現像は私が担当。ライダー同士で作品を内製できるって手前味噌ですが新時代を感じます。

現像ではブリーチバイパスをかけて、空と白樺のニュアンスがお気に入りです。機材はCANONの6DにTAMRONの超広角ズームA012。A012はコスパに優れた良いレンズですが、どちらも動体に強いお高い機材というわけではないです。ちょっと前の機材でも、またそんなにお金をかけなくても工夫次第でかなり撮れます。みなさんも今シーズンはGoPro動画だけでなく写真に挑戦してみてはいかがでしょうか!?

おわりに

こうやって振り返ってみるとセルフプロデュース作を掲載していただいていることが多いですね。それとダム。もちろんダム以外でも色々と作品を作っているのですが、ストリートの作品は紙面となるとコンプライアンス的に厳しそうです。

いくらでも個人発信できる時代ですが、やはりシーン全体をまとめてくれる、編集者の手が入った質の高いメディアは重要。個人的にはスマホの小さなモニタだけで見てもらうのはもったいない、大きく見たい作品が多いので、やはりまだ紙は必要と感じています。これからも継続していくために、ちょっとでもいいなと思ったら書店やAmazonで購入していただけたら嬉しいです。

とはいえ「編集者や他のフォトグラファーのカバーしきれないライダーたち、こんなにすごいのに知られていないなんてもったいない!」との思いから、今では彼らをも紹介する個人メディアとしてインスタグラムを運営しています。またそれぞれのフォトグラファーに、紙面に乗り切らない素敵な作品が沢山お蔵入りしていることでしょう。

フリースタイル精神はスケートボードの時代から無いものはDIYするのが基本。SNSがプラットフォームの、動画についてはGoProがかなり敷居を下げてくれましたが、それに比べるとアクションスポーツの写真はまだまだ。

いきなり自撮りや雑誌に投稿とまではいかなくても、一緒に滑る仲間ができたらお互い撮りあって発信してみるともっと楽しいですよ。今年の冬もクリエイティブに楽しみましょー!

くんさん

December 6, 2019/COLUMN/

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