ICEYクラシックス Vol.1

ICEYクラシックス

ICELANTICライダーの過去の名作を紹介していくコーナー、ICEYクラシックス。
第一回は、スキーだけでなくタトゥー・映像のアーティストとしても類まれなる感性を持つLeigh Powis(リー・ポウィス)

Leigh Powis

イングランド出身で、16歳ごろカナダ・バンクーバーへ移住しスキーを始めたリーは、
スキームービーの名門、POORBOYZ Productionsでその才能を爆発させた。

特に2012年にリリースされたPOORBOYZ【WE】のフルパートでは、ストリートでマッシブな滑りのオンパレード!
(ランディングがフラットな180に、小さなランディングやRへのリダイレクトのバリエーション… どれも見た目以上にかなり難しいです。)

また、コンクリートトンネルの天井をヒットするシーンは、スキーよりもスノーボーダーにフォロワーを生んだ。
サイドフリップというより、カービングでかなりディープなコークとして狙っているのが渋い!!
(例えばフランク・ブルジョアがREAL SNOW2018で天井ヒットを披露している。スキーではバックフリップで枝に当てるなど少し違ったバリエーションに発展した。2012年当時、このトリックにトライしていたのはスキー・スノーボード合わせてもリーくらいでは?もし他に天井ヒットのあるパートを知っていたら教えてください!)

Leigh Powis Inverted Roof Ride


日本のスキーマガジン、FREESKiiNG(2013)でもフィーチャー。ちなみに右側のページの階段のカットもリー。

他のパートではストリートでのダブルフリップやレールからのフリップアウトなど、高難度トリックに積極的にトライ。
リダイレクトなど、ライントリックにフォーカスしていたイメージがあるが、ジャンプでもかなりの攻めっぷりを見せていた。

 

また、生業としてタトゥーアーティストとしての顔も持っていた。
スキーをしていない時はスケッチすることが好きだったらしい。

そんなクリエイティブな感性に長けたリーがプロスキーヤーを引退後、POORBOYZのつながりから映像方面に進むことは自然な流れだったのだろう。
自主制作のショートフィルムを何本か制作した他に、Sean Pettitのパートの撮影やTravis Rice’s “The Fourth Phase”のポスプロにも参加していたらしい。

ここ何年かはSTEPT Studioに所属し、そこで彼の作品を見ることができる。
http://www.steptstudios.com/leigh-powis

このマウンテンバイクの映像も、フィルムの粒状感を強調した暗い雰囲気に、サスペンスのような演出・カット割り、そして非常に高い完成度。アクションスポーツ業界でこういう表現をする監督はまずいない。この作品も彼の存在感をより際立たせている。

”That’s all I ever really go for—to be unique and different. It’d be really depressing to be the same as everyone else, and I’d have to quit. ”
(私が心から追求してきたのは、ユニークで人と違うことだ。誰かと同じことは本当に嫌だし、それは止めないといけない。)
POWDER誌 2013 9月号 インタビューより https://www.powder.com/stories/voice-leigh-powis/

この発言の通り、彼のスキーも映像も、メインストリームとは全く違うスタイルを持っている。人と違うことをする、つまり“個性”はアーティストとしても、フリースタイルにとっても本当に重要だ。

16歳からスキーを始めてPOORBOYZにパートを持てるだけの実力、引退して映像作家への転身できるだけの感性、そして個性。スキーエリートではなくストリートが専門、作家としてもダークな作風で、アンチヒーローとして大きな存在感を放つリー。
ICELANTICのアスリートではなくなってしまったが、彼の功績が色褪せることはない。アーティストとしての作品にこれからも注目したい。

くんさん

May 28, 2019/CULTURE/

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