僕がWandaboardの和田さんという雪板制作者と知り合ったのはまだまだ冬の足音が遠い秋の始まりの頃でした――――
十日町のチューンナップショップ雪将軍で、「スキーバージョンの雪板を作ってる面白い人がいる」という話を聞き、ぜひその人を紹介してくれと店長の川田さんに頼み込んだのが今回のお話の始まりです。
変な話、”スキーバージョンの雪板”とは??という話で。
雪板とは合板などでスノーボードの形を切り出し、そこに滑り止めのデッキテープを張って、ビンディングを付けずにパウダーをライドするという遊びです。自作できる事が第一の楽しみで、さらにはビンディングを付けない事でスケートボードやサーフィンの様なライドが出来るといった楽しみ方があり、意外にコアなファンが増加中の遊びです。
じゃあ、それのスキーバージョンってなんなんだろ??でも、「よくわからんけど、絶対面白いわ!!」という、いつも通りの勢い任せに、和田さんにコンタクトを取りました。
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最初に送られてきた写真を見た感想は「なるほどね!そうだよね!!」と言うものでした。
※ビンディングがないとスキーには乗れないなぁと思ってました笑
和田さんの作る雪板はべニア板を4~5枚重ねて、元となる合板を形成しそれをスキー状に切り出した上でビンディングを付ける、と言うものでした。
僕はこの制作過程を初めて見た時、「まさにこの過程こそスキーと言う移動器具の始まりを見ているんじゃないだろうか」という気持ちになりました。自分で移動器具を作成し、それに乗って移動する。買う事が主流になってしまっているスキー板も、原点はこのように「どのような形状が最も滑りやすいか」を考え、実際に滑り、改良し、という開発の過程があって、高められてきたもので、長い年月が経て結果その開発過程を手放して購入するようになった、ということ。
そしてそれを手放してしまったというのは実はとても楽しく、ワクワクする過程を手放してしまったのではないか。そんな事を考えました。
だからこそ、和田さんの雪板を見て、乗ってみたい!という気持ちと、作ってみたい!という気持ちが沸々と沸き上がり始めました。
そして、ついに和田さんと出会い、「ようやく会えましたね!」と握手をして、実際に作った雪板を見せていただく機会にたどり着きました。
和田さんのスキー雪板はすでに制作3組目まで進んでおり、だんだんとクオリティがアップしている気がします!
※和田さんは普通の雪板も作る為、スキー雪板の事を二枚板と呼んでいますがここでは便宜上スキー雪板と呼ぶこととします。
そして、
「ショーゴ君、一番左の試作機持って行っていいから滑ってみてよ!折ってもいいから!」
という、とてもありがたいお言葉を頂き。
「ハイ喜んで―!!」と和田さんと出会った20時間後にはその雪板を持って雪の上に立ってました。
やっぱり「自分のフィールドでしたことのない事をする」というのはいつだってドキドキワクワク。それが誰かの魂の籠った手作りのギアであればなおさらです。
実際の初滑りの様子は動画でどうぞ!!
いやー。。。
滑れる!!というかエッジが無くてべニア板の合板だから軽い!ホッピーで楽しい!!(これは脆いとも言い換えられますが、和田さんの最新バージョンでは板を船底形状にすることでより剛性を出せるとの事でした)
いやー、思ったより普通に滑れて、びっくりぽんでした。
これがゲレンデともなるとさすがに「全然問題なく滑れる!」とはいかないとは思いますが、もともと雪板とはそういうものですし、そこは全然OK!あくまで、作る事とトライ&エラーが出来る事。そして自作したもので滑れることを楽しむ遊びです。
いや。ホント面白い。とっても楽しい。
和田さんには「来夏には制作工程をちゃんと撮りに行きますからね!」と約束を交わしたので、そちらもぜひお楽しみに!!
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さて、このお話にはちょっと続きがあります。
「せっかくだから、ショーゴ君も自分の一番”滑りやすい”と思う形状を書いてみなよ!一式合板用意してるから!」
そう、それ!俺がやりたかったのは、結果それ!!
ヤベー、仏の和田さんだ!俺が一番やりたかったことわかってくれてるー!
と言うわけで、一週間の猶予を頂いた為、まずは頭を悩ませ、”スキー雪板の最強の形状”を自分の前に出現させてみようと思います。
ただ、ここでちょっと難しいのが、乗って分かった”あくまでスキーとスキー雪板は別物”だという事。つまり、軽さという利点を殺さないために長くする必要もなければ、整地でターンを切る事がないからカービング形状にする必要もなし。
さあ、どうなるか。ものづくりがとっても苦手な河野祥伍のスキー雪板づくりが始まります!乞うご期待!!
今回の企画の全ての功労者Wandaboardの和田さんのInstagramは以下のリンクからどうぞ!
和田さんのInstagramはこちら!